大臣シリーズ 導入事例
SaaS版「販売大臣」をいち早く導入、
即効果を発揮したそのメリットとは?
八起産業株式会社 (東京都品川区)

八起(はっき)産業は、日本で作られた家電部品を海外の工場に納めたり、海外製部品を国内の大手家電メーカーに納品するという輸出入業務を主として行い、円/ドルの両通貨建てが混在する販売管理にSaaS版「販売大臣」(NECネクサソリューションズ「基幹業務SaaS by 大臣」)を活用しています。
SaaS版の導入から実際の運用まで、きっかけや様々なメリットを総務部の津田氏に伺いました。
- 名称
- 八起産業株式会社
- 所在地
- 東京都品川区南品川6丁目14-1
- 代表者
- 谷本敬
- 資本金
- 2千万円
- 創業
- 1994年
- 事業内容
- 民生家電部品/電子部品の加工販売、自動車部品輸出入貿易業務
- 売上高
- 25億6百万円(平成22年度6月期)
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コストを削減しながらサーバー管理の手間を減らす決め手「SaaS」とは…

総務部長
津田孝 氏
SaaS(Software as a Service/サース」)とは、ネットワークを活用したアプリケーションソフトウェアの新しい利用形態です。従来のソフトウェアがパッケージという「モノ」で配布し、使用許諾というライセンスを販売するのに対し、SaaSには、パッケージがありません。
ソフトウェアはサービス事業者側のサーバー上で稼働しており、ユーザーはインターネットを介して、そのサーバーにアクセスし、ソフトウェアを利用します。ユーザーはパッケージを購入するかわりに使用する分のサービス料を支払うことになります。ソフトウェアを使用する期間やライセンスの分だけ料金を払えば良いので、パッケージソフトよりも低コストで利用できます。また、自社内にサーバーを構築、管理する必要がなくなり、コスト減が図れます。他にも日々のバックアップをはじめ、サーバー機器やソフトウェアのバージョンアップなどメンテナンスをサービス事業者が一括して行うため、ユーザーがコンピューターのメンテナンスにかける労力を大幅に減らすことができます。
さて、八起産業では、実際にSaaS版「販売大臣」を使ってみて、メリット、デメリットをどのようにお感じになっているのでしょうか、まずは導入時から順に伺っていきましょう。
システム更新を機にSaaS版を検討、大幅なコスト削減の可能性

データセンター
(NECネクサソリューションズ)
「SaaS」や「クラウド」といった知識は全くありませんでした。他社製のERP販売管理システムを10年ほど使用していて、今回システム更新の時期になりました。ハードもソフトも新しくしなきゃいけない。それには何百万円という費用がかかるので、コスト的にもっと魅力があるものを探していたのです。
以前のシステムを導入した販売会社さんにその要望を相談してみたところ、「実はお手頃な販売管理ソフトがあります。サーバー管理などハードウェアの面倒がなくなるし、コスト的にも魅力がありますよ」というご提案をいただきました。きっかけはそこからです。
旧システムの更新かSaaS版『販売大臣』か。比較検討の結果、「コスト的にもサーバーの管理の面でもSaaS版の方がいい」という話でスタートしました。
旧システムからのスムーズかつ確実なデータ移行がポイント
旧システムからのデータ移行はどのようになさったのですか?
まず、データの移行に関しては責任を持ってください、という話を販売会社さんにしておきました。旧システムの資料を確認した応研さんからも「全く問題ありません。スムーズに移行できますよ」というお返事をいただきました。旧システムのことを熟知している販売会社と、新システム開発元(応研)がチームを組んでいるので、これはすんなりいくだろうなと判断して、データ移行に踏み切りました。
そうすると、実際の移行作業は販売会社さんが担当してくださったのですね?
そうです。その作業を一番心配していました。もしかするとゼロからやり直しになったり、マスターを入れ直すのではないかといった懸念です。しかし、そういったことは一切ありませんでした。
データの移行さえ問題なくできるのであれば、低コストなシステムの導入に自然と向かうことになりますよね。移行作業が煩わしくて、みなさんパッケージ製品や独自システムから変えていかないのではないかと思います。
我々のようにこじんまりした会社では、その作業に時間を割けませんから、不安が解消されて、一気に切り替えようという流れになりました。
セキュリティや危機管理、バックアップについては?
コスト以外にセキュリティや危機管理的な面も考慮されたと思うのですが…
当社から部品を納入させていただいている大手家電メーカーさんとの取引上、セキュリティに関する調査があります。
その中に「サーバーのデータ管理」という項目があって、例えば「サーバー室にカギや保安のカメラはついていますか」だとか、「入室するときのIDカードはどうなっていますか」などのチェック項目があって、点数をつけられていきます。SaaS版なら「当社はデータセンターでしっかり管理、保全されています」と回答できますし、それが本当に助かっています。
また、3月11日の震災を体験して、よくよく考えたのが、もしこの本社がダメージを受けたときでも、他の拠点のパソコンがインターネットにさえつながれば、そのまま販売管理の業務を続けることができる、これは便利だなということです。震災以降、システムはこの方向に行くのだろうと感じました。
震災時の影響はどうでしたか? 回線が使えなくなったり、データセンターが停止したり…
一切ありません。ずっと稼働していました。
データのバックアップはどうなさっていますか?
以前は、社内でDATテープにバックアップを取っていました。テープを3,4本持って、繰り返し作業して、それを毎日しなければならないと言われていたのですが、だんだん・・・。
それが新システム(販売大臣)では、アプリケーション終了時に「バックアップしてください」と画面が表示されて、そのボタンを押すだけで自動的にバックアップされます。データセンターでも夜中24時を過ぎると全てのバックアップをさらに行うそうです。
インターネット回線はADSL 40MBをお使いとのことですが、速度などはいかがですか?
「光回線の方が良い」と説明を受けていましたが、特にストレスは感じていません。NEC(サービス事業者)の担当者さんもこちらで操作画面を見て「光回線と比較しても変わらない」とのことでした。
SaaS版の導入と運用のコスト。資産扱いにならないメリット
パッケージ製品であれば、導入時にまとまったお金がかかりますよね。それが資産として計上されて、償却していく形になると思いますが、SaaS版はどうなのでしょうか?
毎月の経費でそのまま落としていけますから、資産にはなっていません。リースのような感覚です。
資産でないメリットは感じられますか?
まず、資産管理台帳に記載する煩わしさがなくなりますね。我々の資産として持つのであれば、機械の管理や保全費なども考える必要があります。
システムは機械設備だけでなく、データベースや様々なソフトで構成されていて、年次ごとに全てを更新することになります。複雑なものになると私たち素人の手には負えませんから、専門のシステムエンジニアさんに業務を委託して、年間に何十万円というコストが発生するわけです。
SaaS版ではその部分が不要になりました。ハードの問題に関しても一切考えなくていいわけですから、「大臣」の操作について問い合わせるぐらいです。サポート料金も月額に含まれていて、その辺はすごく楽になりました。
クライアントPC側のバージョンアップも制限が不要に
サーバー側はプロバイダーが管理しているので、ハードのメンテナンスやソフトのバージョンアップといった手間が省けるのですが、ユーザー(クライアント)側のパソコンはどうなのでしょうか。
SaaS版でも、端末のパソコンは必要ですよね。このメンテナンスについて何か変わりましたか?
ご存知のように、今のパソコンはOSがどんどんバージョンアップしていきます。以前は、使用中の販売管理システムが対応しているかどうかをその都度確認をしなければ、OSのアップデートはできませんでした。
例えばパソコンを新型に買い換える場合でも、どうにかして旧バージョンのOSを購入し、それをインストールしなければならない。そういう問題が続いていました。
SaaS版なら、インターネットに接続できれば端末側のOSのバージョンは何でもいいということなので、気軽に最新のパソコンを導入できる。端末が故障したとしても自由に取り替えられるようになりました。
「販売大臣」の使い勝手と、定評のある高い自由度はSaaS版でも
「販売大臣」自体の使い勝手についてはいかがですか?
我々の規模にちょうどいい内容のメニューです。あらゆる機能を使いますし、かといって、足りないものも特にないというシステムですね。導入から半年間使って、当社の業務には本当に合っていると思います。不自由もしていませんので、新たにこうして欲しい、ああして欲しいというのは、いまはないです。このままで十分です。
稼働開始の際も、インストラクターさんに3日間ほど来ていただいて、操作指導を受けただけです。他の営業社員も一回の説明で理解できました。
通常のSaaSでは、カスタマイズできないものが一般的だそうですが、「販売大臣」はいかがですか?
オリジナルの月報を作ったり、帳票のレイアウトを組み替えることも可能だということなのですが、まだあまりいじらないで、ほとんどオリジナルのまま使っているという状態です。
あとは、外貨と為替レートを入力すると、日本円として自動的に計算するようにしています。旧システムでは、例えば96ドルの単価仕入れなら、相手のインボイスを見て、その都度1ドル=何円と計算し、また打ち直すという面倒な作業をしました。
自動化はできないのですかと尋ねたところ、「販売大臣」なら標準機能(※)で対応可能ということで、そのように設定していただきました。その部分は旧システムに比べて非常に便利です。
※伝票の項目や表で、任意の計算式を導入する機能。重量、日数、容積、為替、割合など複雑な計算にも対応します。
SaaS版でも「販売大臣」は業務との適合性がいいということですね。現在の導入ユーザー数を教えていただけますか?
本社で2台、滋賀県の草津営業所に2台、日光の北関東営業所に1台。合計5ユーザーです。
営業の方が外出先からノートパソコンを使って在庫チェックをするといった使い方はされていますか?
我々が借りている倉庫の棚卸しもありますし、ノートパソコンから「大臣」に接続して在庫確認するようなモバイル的な使い方はいい案かもしれないですね。これまで考えていませんでしたが、そう言われてなるほどと思いました。
販売管理システム以外の導入、クラウド利用への今後の展望について
販売大臣と、他のたとえば会計業務や給与計算、人事管理など、他の業務との連携はお考えですか?
本当は給与も会計もSaaS版で一本化したいところなのですが、会計事務所さんとの連携の都合で他のソフトを利用しています。この際、まるごとクラウド化できれば便利なのでしょうが…
ソフトの指定があるのですね。
データセンターのような保全の効いたところできちんと保管されるというのが、一番の安心材料ですからね。我々の規模で新しいサーバールームを用意したり、保全のための複雑なシステムを組むのはなかなか難しいところです。
将来的には、お客様からお預かりしている図面などの大切な情報をそこへ保存する方向性でいきたいなと思っています。
今回のSaaS版導入にはいろいろ考えさせられました。もう全部クラウドでやっていかなければならないなあと。
SaaS版「販売大臣」導入のきっかけはコスト面でしたが、実際にはそれだけでなく、システムの使い勝手や自由度、データ運用と保管の安全性にも満足していただいているようでした。
※この導入事例の記載内容は取材時(2011年8月)のものです。